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炉辺談話(277)

2004年手続要覧

2月に入って、やっと待望の2004年版手続要覧が送られてきました。規約改定があったのは2004年6月18日に終了した2004年規定審議会ですから、日本語版として入手するまでに、7ケ月半かかったことになります。いつものことながら、RIのウエブサイトを通じて英語版が発表されたのはかなり以前のことですから、英語以外の言語を母国語とする会員はかなりのハンディがあることになります。RIに対して同額の人頭分担金を払っているのに、情報伝達が何ヶ月も遅れるのは、不公平極まりないと思いますが、皆さまはどのようにお考えですか。
今回は2001年版の手続要覧と対比して、どの部分がどのように改訂されたについて解説を試みてみたいと思います。

☆      全体のレイアウトが変更され、前回までの2段組が1段組になりました。中心のスペースがなくなったせいもあって、約30ページ薄くなりました。個人的には見やすくなったような気がします。
☆      全般的に内容が簡潔に改訂されました。

第1部 管理
☆      第1章 ロータリークラブ
  ○        クラブ管理・・「試験的プロジェクト参加クラブ」1年間延長されたパイロット・プロジェクト・クラブとE−クラブについて述べられています。
  ○        「効果的なロータリークラブの定義」が新設されました。これはクラブ・リーダーシップ・プランの基本となるものです。
  ○        出席・・全面的に簡潔に改定されました。新たに「兵役」が新設されましたが、これはイラクやアフガニスタンの戦争が影響したものと思われます。
  ○        営利化と配布・・「会員情報」が新設され、これには、規定審議会で採択されたロータリアンの名簿の管理が含まれています。
  ○        親睦・・「名を呼び合う習慣」ニックネームで呼ぶ習慣の項目が抹消されました。大阪大会の際、日本にはニックネームで呼ぶ習慣はないことを強調して、名札にはニックネームを書かないことになりましたが、ひょっとしたら、その影響かも知れません。
  ○        「新クラブ」の項目が新設され、「創立会員の最低人数」が20名とすることが明記されました。
  ○        「職業分類」「仮クラブ結成の要件」が新設されました。
  ○        名称と所在地域・・「既存ロータリークラブの合併」が新設されました。RI細則2.050
  ○        雑則・・「ロータリー地域雑誌の定義」が新設されました。
☆      第2章 地区
  ○        従来は「ガバナー」の項目で一括して説明されていましたが、「ガバナー・ノミニー」「ガバナー」「ガバナー・エレクト」に分割されて、判りやすくなりました。
  ○        管理・・「地区研修委員会」の項目が新設されました。
  ○        拡大・・2004年規定審議会の決議案04-45でスポンサー・クラブの人数が25名から20名に変更されたのですが、この手続要覧にはそれが反映されておらず、従来通り25名と記載されています。
  ○        財務・・規定審議会で採択された制定案に基づいて、「地区資金の管理」の報告義務の内容が具体的に提示されています。
  ○        会合・・「地区会員増強セミナー」「地区ロータリー財団セミナー」の項目が新設されました。「地区大会」に関しては2004年規定審議会の決議案04-196で、「1日以上3日以内、6時間以上」に決定したのですが、この手続要覧には、地区大会の推奨事項として従来通り、2日以上3日以内と記載されています。ただし、従来あった9時間以上という時間に関する制約は抹消されています。
☆      第3章 国際ロータリー
  ○        出版物・・「RIウエブサイト」の内容が詳しいものに変更されています。

第2部 プログラム
☆      第4章 ロータリーのプログラム一般
  ○        「RI会員増強・拡大賞プログラム」が新設されています。
☆ 第5章 職業奉仕・・内容の変更はありません。
☆ 第6章 社会奉仕
  ○        「社会奉仕に関する1923年の声明」・・「(1) ロータリーは基本的には一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕− [超我の奉仕] の哲学である。」と記載されています。1998年までの手続要覧には、この最後の部分には、「この哲学は奉仕− [超我の奉仕] の哲学であり、 [最もよく奉仕する者、最も多く報いられる] という実践倫理の原理に基づくものである。」と記載されていましたが、2001年の規定審議会の決議案01-678に基づいて、RI理事会が第二モットーの使用停止をしたことに併せて、決議23-34から、 [最もよく奉仕する者、最も多く報いられる] という実践倫理の原理に基づくものである。」という文章が削除されて、現在に至っているわけです。しかしながら、国際大会や規定審議会で正式に決定した決議を理事会の考えだけで変更することはできないはずです。この決議23-34の最後の部分に (26-6,36-15,51-9,66-49) という記載がありますが、これは何れもこの年度の国際大会の議を経て変更された番号を表したものであり、今回のように規定審議会の議を経ずに変更することは理事会の越権行為と言わざるをえません。
  ○        家族月間の項目が新設されました。毎年12月
☆ 第7章 国際奉仕
  ○        ロータリー国際理解と平和賞の項目が新設されました。
☆ 第8章 新世代
  ○        「青少年と接する際の行動規範」が新設されました。
  ○        「インターアクト」「ローターアクト」「ライラ」「青少年交換」の説明内容が簡素化されました。

第3部 国際的会合        各項目が合理的に組み替えられました。
☆ 第9章 国際大会・・内容の変更はありません。
☆ 第10章 規定審議会・・内容の変更はありません。
☆ 第11章 国際協議会・・項目が新設されました。内容の変更はありません。
☆ 第12章 ゾーン研究会・・従来のロータリー研究会の名称が変更になりました。内容の変更はありません。
☆ 第13章 他の国際的会合・・地域大会、会長主催会議、国際研究会が一括されました。内容の変更はありません。

第4部 ロータリー財団
☆ 第14章 組織および目的・・内容の変更はありません。
☆ 第15章 ロータリー財団のプログラム
  ○        人道的補助金プログラムが「地区補助金」「個人向け補助金」「マッチング・グラント」に分類され、その内容が具体的に説明されています。
☆ 第16章 財務
  ○        項目が整理されていますが、内容の変更はありません。
  ○        ベネファクター、大口寄付者の項目が新設されました。

第5部 ロータリーの標章
☆ 第17章 ロータリーの標章の使用と保護
  ○        プロジェクト別のロータリーの標章のサンプルが表示されました。
  ○        印刷、インターネット、E-メールによる標章の使用基準が定められました。
  ○        ロータリーの標語・・「超我の奉仕 Service above self 」と「最も良く奉仕する者、最も多く報いられる They profit most who serve best 」になりました。第二モットーの邦訳は変わりませんが、He profits most who serves best がThey profit most who serve best になりました。

第6部 会議運営手続規則・・内容に変更はありません。

第7部 組織規定
☆      国際ロータリー定款、国際ロータリー細則、標準ロータリークラブ定款・・2004年規定審議会によって、かなりの部分が変更になりました。

第8部 その他の法的書類
☆      推奨ロータリークラブ細則・・2004年11月のRI理事会でクラブ・リーダーシップ・プランの採択が決定し、それに併せて、委員会構成を中心に、推奨クラブ細則が全面的に改正されましたが、この手続要覧に掲載されているものは、改正以前の古い細則です。
☆      ロータリー財団細則については変更はありません。