決議23−34の怪
1998年版以前の手続要覧には「社会奉仕」の項目に、「(1) ロ−タリ−は、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕−”超我の奉仕”−の哲学であり、”最もよく奉仕する者、最も多く報いられる”という実践理論の原理に基づくものである。」という記述で、二つのロータリーのモットーが併記された「決議23−34」が掲載されていました。
しかし、2001年版および2004年版の手続要覧では「(1) ロ−タリ−は、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕−”超我の奉仕”−の哲学である。」となっており、「”最もよく奉仕する者、最も多く報いられる”という実践理論の原理に基づくものである。」という記述が抹消された、不完全な「決議23−34」が掲載されています。
これは、2001年の規定審議会において、決議01−678「すべてのロータリー用語から性に関する表現を削除することを理事会に要請する件」が採択されたことを受けて、Heという単語が使われているという理由で、決議23−34の本文から「He
profits most who serves best」が記載されている部分を全部削除したためだと思われます。
決議23−34は1923年の国際大会で採択されて以来、数回改正されており、決議23−34の最後につけられている(23−34,26−6,36−15,51−9,66−49)という数字は、1923年に制定され、1926年、1936年、1951年、1966年の国際大会においてに正式な手続きを経たうえで、その一部が修正されたことを意味しています。なお、当初は国際大会において規約改正が行われていましたが、1972年からは、その作業が規定審議会で行われるようになりました。
何れにせよ、一旦採択された決議案を変更しようと思えば、規定審議会に提案して、承認を得ることが必要なのです。しかしながら、2001年および2004年の規定審議会には決議23−34を変更しようという提案はだされていません。規定審議会の議を経ずに、RI理事会が勝手に決議案の内容を変更することは、明らかにルール違反です。
特に決議23-34は、ロータリーの奉仕哲学と実践理論の原理を定義している極めて重要なドキュメントであり、この決議から「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」という大切なロータリー・モットーを削除してしまえば、ロータリーの理念、特に職業奉仕理念を正しく説明することは不可能になります。Heが使われているという理由だけで、このようなロータリーの根幹を揺るがすような重大な変更が、規定審議会の議を経ずして、RI理事会の独断でされることは由々しきことであり、ロータリーの将来に大きな不安を感じます。
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