I serve か We serve かの議論が未だに盛んですが、私はこの議論は既に1923年の決議23-34によって決着がついていると考えています。
決議23-34、6条g節に「クラブがひと固まりとなって行動するだけで足りるような事業よりも、広くすべてのロータリアンの個々の力を動員するもののほうがロータリーの精神にかなっていると言える。それはロータリークラブでの社会奉仕活動は、ロータリークラブの会員に奉仕の訓練を施すために考えられたいわば研究室の実験としてこれを見るべきであるからである」と明記されていることからも判るように、ロータリーの社会奉仕や国際奉仕活動は
I serve が原則であり、クラブとして行う団体奉仕活動は、どのようにして奉仕活動の実践をするかが充分理解できない会員に対する教育的なサンプルに過ぎません。
ロータリアン個人の力でどんな奉仕活動ができるのかと疑問を抱く人もあるでしょう。事実、一人の力でできることなど高が知れているかも知れません。そこでロータリーは、一人一人のロータリアンが中核となって、そのロータリアンが影響力を及ぼしている職場や業界や地域社会の人々を動員して、その協力の下に奉仕活動を実践することを勧めているのです。これは、ロータリアンとしての資格条件は、自分の職場は当然として、業界や地域社会に強い影響力を持つことが前提になっていることを意味します。
仮に50人の会員を擁するクラブが We serve の形で団体奉仕活動 Group action をしたとしても、それは単に50人分のパワーが発揮されるに過ぎませんが、50人のロータリアンがI
serveの立場で、自分の影響力の下にある50人の人たちをこの運動に巻き込んで実践すれば、2500人分の巨大なパワーが発揮できるのです。
更に、ロータリークラブの名前を使って活動すれば、他の奉仕団体やNGOに所属している人に参加を要請することは難しいとしても、個人の立場なら可能となります。
奉仕活動の実践団体ならば、自らの団体が実施したプロジェクトの大きさを誇ればそれで事が足りますが、ロータリークラブの役割は、職域や地域社会を取り込んで素晴らしいプロジェクトを行えるような、卓越したリーダーシップを備えた人材を育てる組織だと言うことを忘れてはなりません。
従ってサンプルとして行うクラブ・レベルの奉仕活動も、単に群れ集まって Group action を行うのではなく、個々のロータリアンが目的意識を持った活動の集合体として
Individual collectively action として行わなければならないことが、Not I serve, but we serve
を標榜しているライオンズクラブとの決定的な違いなのです。
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