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炉辺談話(293)

クラブ・リーダーシップ・プラン 3

 2004年11月に開催されたRI理事会において、クラブ・リーダーシップ・プラン (CLP) が新しい推奨ロータリークラブ管理組織として承認され、その裏づけとなる推奨ロータリークラブ細則が発表されて以来、乏しい情報の中で、これを何時、どのように採用するのかを巡って、かなりの混乱が起こっているようです。
 このたび入手した、このプログラムをパイロット・プロジェクトとして採用した第7570地区 (アメリカ、バージニア州西部・テネシー州北東部) の資料によれば、2005-2006年の1年間の準備期間を経て、本格的採用は2006年7月からのようです。すなわち、2006年3月に開催されるPETSにおいて、そのすべての内容が、全世界のクラブ会長に周知徹底されるということです。
 RI理事会は、現時点に於いてはあくまでも弱小クラブや機能喪失クラブを活性化するための手立てであって、その採用はクラブの自由であることを強調していますが、同様に任意採用を前提にしながら結果的に義務的採用となった地区リーダーシップ・プランの例もありますので、現時点から十分に研究しておく必要があるものと思われます。ただし、地区リーダーシップ・プランと違って、クラブの管理運営や委員会構成は、クラブ自治権の範疇にあるため、このクラブ・リーダーシップ・プランの要となるクラブの委員会構成を定めるロータリークラブ細則も、あくまで推奨に過ぎず、各クラブが自らのクラブの実情に合わせて制定すべきものであることを忘れてはなりません。
 今般、刀根荘兵衛氏 (敦賀RC) から提供された資料に基づいて、第7570地区が発表しているCLPの現況および、同様にこのパイロット・プログラムに参加したカナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーサンライズ・ロータリークラブの例を「ロータリーの友」から引用してご紹介いたします。


7570地区 (バージニア州西部、テネシー州北東部)におけるCLP資料

ウエブ・サイトによる資料提供
http://www.rotary7570.org/univ/clubleadershipplan_files/frame.htm

目的
クラブ・リーダーシップ・プラン (CLP) の目的は、効果的なクラブ管理体制を提供することによって、クラブ・レベルにおけるロータリーを強化することです。
CLPはリーダーシップ開発・研修委員会 (LDT委員会) によって、4年以上にわたって開発されてきたものです。

経過
2000年9月         2000-2001年度LDT委員会は、現在のクラブ常任委員会構成が、多数の委員会を持つ小さなクラブに負担を負わせ、効果的なクラブにするために立案されたその他の計画と一致しないことを発見したので、僅か5つの常任委員会しかない新しいクラブの管理組織を推奨しました。
2002年12月       2002-2003 LDT委員会は、CLPのガイドラインを開発しました。
2003年2月         理事会は原則的にCLPを承認し、クラブがそれを試験的採用することを要請しました。
2003-2004           CLPは6ケ国の18クラブによって試験的採用されました。
2004年11月       CLPは推奨ロータリークラブ管理組織として、理事会によって承認されました。
2004年11月       CLPに適応した新しい推奨ロータリークラブ細則が、理事会によって承認されました。

特徴
CLPは地区リーダーシップ・プランをクラブ・レベルに拡張したものです。
プランを実行するために、クラブが取るべき手順を示したものです。
リーダーに対する継続性とコンセンサスを育むものです。
地区委員会によって支援を受ける簡素化されたクラブ常任委員会のリストが含まれています。
新しい推奨ロータリークラブ細則によって支援されています。
義務的なものではありません。
新しいロータリークラブまたは苦境にあるロータリークラブに推奨されています。

新しい常任委員会

クラブ
理事会
クラブ
管理運営
クラブ
広報
会員組織 奉仕
プロジェクト
ロータリー
財団

ガバナー
補佐
地区広報 地区
会員増強
地区
プログラム
地区ロータ
リー財団
地区リーダーシップ・プラン

地区リーダーシップに基づいた地区組織が、CLPを支援します。
1.      ガバナー補佐はクラブ管理運営委員会およびクラブ理事会を支援します。
2.      地区広報委員会はクラブ広報委員会を支援します。
3.      地区会員増強委員会はクラブ会員増強委員会を支援します。
4.      青少年交換、ローターアクトなどの地区プログラム委員会はクラブ奉仕プロジェクト委員会を支援します。
5.      地区ロータリー財団委員会はクラブ・ロータリー財団委員会を支援します。

地区には、更に5つの推奨委員会があります。
1.      拡大委員会
2.      RI年次大会推進委員会
3.      地区大会委員会
4.      研修委員会
5.      財務委員会

利点
プロジェクトと意思決定の継続性
意思決定と目標設定に対するコンセンサス
クラブ指導者の活動の場の拡大と強化
クラブ指導者の継続性
クラブ活動に対する全会員の関与

実施日程
2004年11月       RI理事会が公式推奨ロータリークラブ組織として承認 (RI理事会決定最新版としてロータリー・ワールド2005年1月号に掲載)
2005年1月         RIウエブサイトおよび英文による文書配布
2005年2月         すべての言語による文書配布
2005年4月         ロータリアン誌。バンクーバー・サンライズ・ロータリークラブによるCLPの成功例
2005年4月         ロータリー・ワールド。新しいクラブ細則とCLPに関する記事。
2005年6月         シカゴ大会。CLPワーク・ショップ
2005年7月         DGTMにはCLPに関する情報が含まれます。
2005年              GETS指導者の手引きにはCLPの情報が含まれます。
2005年10月       CLPに関する出版物が入手可能
2006年3月         PETSにおいてすべてのクラブにCLPに関する出版物を配布


クラブ・リーダーシップ・プラン・ワークシート

クラブ会長は、本クラブがクラブ・リーダーシップ・プランの実現を計画するに当たって、このワークシートを使用しなければなりません。各項目に記載されている計画は、クラブがクラブ・リーダーシップ・プランを実行するために選択する一般的な方法です。クラブは必要に応じて実現するための代替の計画を開発することが奨励されています。

クラブ名          
会長名           
ロータリー年度       

実施方法
1.       □ 私たちのクラブは、向こう3年から5年のクラブの奉仕活動に対する目標、奉仕プロジェクト、会員増強、ロータリー財団、指導力開発を設定して長期計画を開発しました。別紙に記載して、このワークシートに添付してください。
2.       □ クラブは、次ロータリー年度の目標を設定するために、「効果的なロータリー・クラブとなるための活動計画の指標」を完成させました。
3.       次年度の計画を立てて、クラブの会員に周知するために、次の日時にクラブ協議会を開催します。
□       地区協議会後のクラブ協議会     
□       ガバナー公式訪問前のクラブ協議会     
□       その他のクラブ協議会を計画     
4.       □ 会長エレクトが計画の概要を説明しました。別紙に記載して、このワークシートに添付してください。
5.       □ クラブは指導者の継続性を図るためのシステムを作りました。
□       意思決定に会長エレクトと会長ノミニーが参加
□       次期委員長指名に委員長が参加
6.       □ クラブの実情を反映するようにクラブ細則を変更しました。注: RIウエブサイトから推奨ロータリークラブ細則の最新版を得ることができます。
□       細則を変更した日付     
別紙に変更した細則の概要を記載して、このワークシートに添付してください。
7.       □ 年間に計画している適切な親睦活動を別紙に記載して、このワークシートに添付してください。
8.       □ クラブはクラブにおけるすべての会員の活性化を図るためのシステムを作りました。
□       すべての会員は委員に任命されています。
□       すべての会員は奉仕プロジェクトに参加しています。
9.       □ クラブは以下の行事の日程を含んだ、包括的な研修プランを立てました。
□       会長エレクトはPETSに参加した。    
□       すべての次期クラブ指導者は地区協議会に参加した。    
□       新入会員のオリエンテーションを実施した。    
クラブ会員に出席を要請した。
□       地区ロータリー財団セミナー    
□       地区会員増強セミナー    
□       地区リーダーシップ・セミナー    
□       地区大会    

地区リーダーシップ・チーム
クラブはクラブ・リーダーシップ・プランを作るために、次の地区指導者と共に活動します。
□       ガバナー補佐
□       ガバナー・エレクト
□       地区研修リーダー
□       地区委員

委員会
クラブ委員会は定期的にクラブ理事会に報告しなければなりません。以下の委員が任命されています。

会員増強委員会                                                ロータリー財団委員会
委員長                                                                 委員長
副委員長                                                               副委員長
元委員長                                                               元委員長
委員                                                                    委員

広報委員会                                                       クラブ管理委員会
委員長                                                                 委員長
副委員長                                                               副委員長
元委員長                                                               元委員長
委員                                                                    委員

奉仕プロジェクト委員会
委員長
副委員長
元委員長
委員

必要とするその他の委員会のリストは別紙に記載して、このワークシートに添付してください。


クラブに新風を吹き込むプラン

ロータリーの友 2005年4月号

 2003年、ディーン・ローアス氏がカナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーサンライズロータリークラブの会長に就任した時に感じたのは、クラブにはもっと活力が必要だということでした。
 「私たちのクラブは、とにかく新風がもたらされないことにはどうにもならないような状態でした。すっかり停滞していて、会員は22人にまで減ってしまいましたし、自分たちのお決まりのやり方に固執したロータリアンばかりでした」
 そこでローアス氏は、クラブ・リーダーシップ・プランの試験に参加してみることにしました。このプランは、退会防止、会員増強、奉仕プロジェクトの実施、ロータリー財団の支援、クラブの枠を超えて活躍できる指導者の育成を中心に、クラブを支えるものです。国際ロータリー理事会は、11月の会合でクラブ・リーダーシップ・プランを承認し、本プランを実行する上で必要となる合理化された委員会を組織化するために、「推奨ロータリー・クラブ細則」を改定しました。変更後のクラブ細則では、これまで18あった委員会が5つに抑えられています。クラブは、細則の改正とそれに伴うプランの実施を奨励されてはいますが、義務づけられているわけではありません。新たな管理上の枠組みとなるこのプランは、クラブの指導者が年次目標と長期的な計画を立て、会員の一人ひとりをクラブのプロジェクトや委員会に関与させるよう推奨するものです。
 2003 − 2004年度に実施された試験的クラブ・リーダーシップ・プランに参加したのは6か国で、そのうちの1つがバンクーバーサンライズRCでした。「試験に参加したおかげで、クラブのみんながロータリーに対して再び意欲を燃やすようになりました」とローアス氏は言います。「古い考え方にとらわれずに、前へ進む勇気が出てきました」
 このプランを導入する前、クラブには会員を引きつけるようなこれといったプロジェクトもなく、地元の企業や団体とのつながりもなく、かといって何か新しいことに挑戦してみようというような意欲もなく、また、クラブに存在する4つの委員会(クラブ奉仕、社会奉仕、国際奉仕、職業奉仕)にしても、同じ委員長が5年も6年も務めることが珍しくはなかったとローアス氏は言います。要するに、委員会に新しいアイデアを持ち込んでくる会員がいなかったのだと、ローアス氏は指摘します。
 新プランに従い、クラブは、会員増強、クラブ広報、クラブ管理運営、奉仕プロジェクト、ロータリー財団の5つの委員会を設置しました。現在は、3年間にわたる段階的なシステムを導入し、委員会の委員長は毎年入れ替わるようにしています。1年目は次期委員長として、2年目は実際の委員長として務め、3年目は新委員長の指導者的存在として相談に応じる役割を担います。
 バンクーバーサンライズRCは、会員の勧誘、退会防止、会員の活性化だけでなく、資金拠出を必要としないプロジェクトの担当も会員増強委員会に委ねることにしました。奉仕プロジェクト委員会は、国際奉仕と社会奉仕の両方を担当することになり、ロータリー財団委員会は、ロータリー財団を推進する存在として、財団に関するさまざまなプログラムを監督するようになりました。
 それだけでなく、クラブが国際奉仕に取り組む機会も増えたと、ローアス氏は付け加えます。現在、バンクーバーサンライズRCでは、南アフリカの保育園に資金や文具を提供しているほか、同国の小学校にコンピューターを寄贈し、教師にその使い方を指導しています。ローアス氏によると、以前のように小切手を切るだけのプロジェクト参加ではなく、真の意味でプロジェクトに直接参加したいという会員が増えているということです。
 現在のところ、クラブ会員のほとんどがこの新しいプランに賛同していますが、元のやり方に戻ってしまう心配がなくなったとは言い切れないと、ローアス氏は言います。「現在の勢いを失わずに、新しい意欲をいかに保っていくかが今後の課題です。さまざまな変化を経てきましたが、今年度は、整理統合の年です。来年度はさらに磨きをかけ、前進していきますよ」