会場監督・SAAの職務
SAA(Sergeant-at-arms)・会場監督 は直訳すれば武装した下士官ですが、本来は、イギリスの王室や領主が行う各種の儀式の秩序を守るために設けられた役職で、こういった会合を妨害したり、秩序を乱すのを防ぐために、厳重に武装をした騎士を配置して、これらの会合の監督させたことから、この名前がつきました。その後は中世ヨーロッパの宮廷で、外国の賓客を招いたレセプションが開かれる場合、その会場をとりしきる役職となりましたが、その制度がアメリカの議会に導入され、それがロータリーにも及んだものと考えられます。
ロータリーでSAAが正式な役職として定められたのは1906年で、ポール・ハリス、マックス・ウオルフ、チャールス・ニュートンがシカゴ・クラブの最初のSAAに就任しました。
ロータリーのあらゆる会合では、SAAは最高の権限を持つ執行機関の役員であり、すべての会員はSAAの指示に従わなければなりません。
ゾーンやRIレベルの会合では、SAAは熟練したパスト・ガバナーが務めるのが普通です。規定審議会や国際協議会のように義務出席が科せられた参加者が大勢いるような会合では、単に会場の秩序を守るだけではなく、遅刻したり欠席したりする参加者への対応もSAAの仕事の一部となります。正しく鬼軍曹のような形相で、もたもたしている参加者を会場に追いたてますが、誰一人としてこれに逆らう人はなく、全員が諾としてこれに従う様は見事としか言いようがありません。また、国際大会のような大規模な会合では、本会議場や各種の催し物会場の設営・監督から、会場案内、観光案内に至るまで、膨大な量の仕事がSAAに集中します。従って、十数名のベテラン・パスト・ガバナーで構成されたシニアSAAの元に、2-300名のロータリアンのSAA、さらに500-1000名規模の一般SAAという規模で大会運営に当たります。
クラブ・レベルにおいては、SAAは審議系列とは一線を画する立場上、理事会に出席する義務はありませんが、もし、必要があれば、理事会に出席して発言することができます。審議機関に属さないので、SAA委員会と言う呼称をつけるのは間違いです。最近の傾向として、SAAの任務がニコニコ箱の集金係に化しているクラブが多いようですが、主たる職務は、あくまでも、会場監督であることを忘れてはなりません。
例会場の管理権者であることから、強いリーダーシップが要求されるので、会長経験者およびロータリアンとして経験が深い会員より任命することが望ましく、更にその役職の重要性を考えると、副SAAを含めて全会員の10%以上の数が望ましいとされています。
具体的職務内容
◎例会の司会進行
◎例会場への入場、退場許可。例会場の開門、閉門。
◎早退、遅刻の承認や拒否。
◎私語に対する警告。
◎卓話の時間励行。
◎その他、例会場の秩序を乱す行為に対する警告と退場命令。
◎例会場の設営・・・テーブルの配置、座席の指定(親睦活動委員会と共に)
◎食事の献立、業者の選定等食事の手配
◎ニコニコ箱の管理とその募金状況の報告
以上のように、SAAはロータリーのあらゆる会合において、最高の権限を持っている役員であり、開門、閉門、私語の取り締まり、会場の秩序の維持、タイム・コントロールなどが主な役割です。
会合の司会を任されることもありますが、会長もまた、あらゆる会合の議長を務めると定められている関係で、会合の司会を務めることもあるので、この役割分担は臨機応変にする必要があります。
ニコニコ箱は日本特有の制度であり、外国にはこり風習はありません。従ってSAAがニコニコ箱の管理をするのは日本特有の習慣であって、SAAの本来の職務ではありません。
米山梅吉翁のガバナー月信には、SAAの役割について次のように記載されています。
「終りに、サージャント・アット・アームスに就て一言。此役目中々御苦勞に有之、會則にも其職責一定せず、會長または理事會の定むる所に從ふ次第に候が、東京クラブにては戯れに警視總監など呼び候こともあり、御目付とも可申、世話人とも可申、或は又大きく言へば議會の院内総務にも當り、集會中は司會者に次ぎ會の規律を保つためには重大なる権能を附興され居るもの、其中特に希望され候は欠席者遅刻者等に注意してセクレタリーの仕事も助くると共に、何處にもある、會員中別懇の連中にて或るテーブルを占領するごとき弊を矯め、或テーブルに常連の一村が出來る様なことのなきよう致すことに候。
因に、華府のハリス氏、米國第一の寫眞業者として有名と聞及び候が、毎年大會毎に必ず出席してサージャント・アット・アームスとなり、大會後の國際役員會議に於ても一週間ブッ通しにて議場を整理し、議案の配布其他些細のことまで世話を焼き又八釜しく小言も申し、何れも謹んで其言に從へるには敬服に候。」
|