ロータリアン活動グループ
国際ロータリー理事会は、ロータリー親睦活動プログラムの見直しを行って、新しい発想に基づいて「グローバル・ネットワーク・グループ」という新しいカテゴリーを設け、その下に、「ロータリー親睦活動」と「ロータリアン活動グループ」を設置することを決定しました。
「奉仕の理想に結ばれた、事業と専門職務に携わる人の世界的親交によって国際間の理解と親善と平和を推進すること」というロータリーの国際奉仕の目的を実現するための具体的な活動として、国際奉仕活動の中にロータリー親睦活動というプログラムが設けられています。
1970年に正式にRIプログラムとして承認された「世界親睦活動 WFA」 は、1993年に当時パイロット・プログラムであった「国際職業連絡グループ
IVCG」と合併して、「ロータリー趣味・職業別親睦活動 RRVF」となりました。更に、2001年にはこれに健康・医療関係のボランティア活動グループが加わって、「ロータリー親睦活動Rotary
Fellowship RF」となってロータリーの構成プログラムの一つと位置づけられ、6月がロータリー親睦活動月間に指定されました。
現在は趣味による同好会組織、職業別の同業者組織、目的別のボランティア組織という全く性格の違う三つの組織が、「ロータリー親睦活動」という一つのカテゴリーの中に、無理に押し込められている状況です。趣味や職業別のグループは会員相互の親睦を図る組織であるのに対して、ボランティア・グルーブは人道的奉仕活動の実践という全く異なった目的を持った組織であり、前者は会員が支払う会費によって全ての経費を賄う必要があるのに対して、後者は寄付金やロータリー財団からの補助金で実務作業を行うという大きな差異があります。
地域社会のニーズによって、今後、いろいろな種類のボランティア・グループが設立されることが予測されるので、思い切った組織の再構築が必要になったものと思われます。
今回の変更の概要は次の通りです。
1. 「ロータリー親睦活動」をロータリーの構成プログラムから除外します。構成プログラムの定義は「RI理事会がクラブおよび地区のために推奨し、枠組みと指針を含んで組織された活動」であり、「ロータリー親睦活動」は、クラブや地区レベルの活動ではなく、むしろ、個人の活動なので、この定義を満たさないというのがその理由です。
2. 新しい発想に基づいて、国際奉仕活動の中に「グローバル・ネットワーク・グループ Global Networking Group」というカテゴリーを作り、その中に、「ロータリー親睦活動」と「ロータリアン活動グループ」とを設置します。グローバル・ネットワーク・グループは「国際的ベースで関心のある共有な問題に焦点を合わせて組織化されたロータリアン個人のグループ」(ロータリー章典 40.010)と定義されています。
3. 「グローバル・ネットワーク・グループ」が二つに分けられて、職業別・趣味別の活動を進めるために集まったロータリアンのグループが、「ロータリー親睦活動」という現在のタイトルの下に留まり、ロータリーの綱領を推進する國際奉仕プロジェクトを実施する目的のために作られたロータリアンのボランティア組織が、「ロータリアン活動グループ」と呼ばれることになります。すなわち現在のロータリー親睦活動の中で趣味や職業別のグループが「ロータリー親睦活動」という古い名称を引き継ぎ、現在の保健や衛生などのボランティア活動に焦点をあてたグループや今後新設されると思われる新しい国際奉仕に関するボランティア活動グループが「ロータリアン活動グループ」のカテゴリーに入るものと思われます。
4. 政治的、宗教的な活動をすることは認められません。
5. ロータリアン家族やローターアクターの参加が認められます。
6. 今年一年をかけて、「ロータリー親睦活動グループ」の整理と、「ロータリアン活動グループ」の設立作業を行って、2006年7月から、新しい制度に移行する予定です。
7. 「ロータリー親睦活動」のグループが奉仕活動を行うことを禁止したり、「ロータリー活動グループ」が親睦を楽しむことを禁止するものではありませんが、双方のグループは、自分の所属するグループの主な機能が何であるのかを考えて活動することが要求されます。
8. 新しいロータリー章典には、「ロータリー親睦活動」および「ロータリー活動グループ」に関する規定が記載されます。(2005年6月に発表されたロータリー章典には、この変更は記載されていませんので、次回に改訂される章典に記載されるものと思われます。)
ロータリーの活動は、人道的主義に基づくボランティア活動を推進する方向に大きく傾いていますが、クラブには自治権があって、奉仕活動の実践はこのクラブ自治権の範疇にあるために、RIがこれらの活動をクラブに強制することはできません。さらに、RIの会員はクラブであってロータリアン個人ではありませんから、ロータリアン個人に対して、ボランティア活動を積極的に推進するように命令することもできません。したがって、ロータリアンが目的意識を持って個人レベルで参加することを前提にした、「ロータリー活動グループ」のような組織を作って、この組織にロータリー財団の基金を使う権限を与えて、ボランティア活動をしてもらうのが、最善の方法だと思います。
私は、目的別のボランティア活動をするマン・パワーを組織化するために、ロータリー親睦活動グループの中にボランティアをする意思のある人を集めた第3のグループを作ることを考え付いて、2001年3月にデブリン会長に提案しました。デブリン会長からは、WCSと関連付けて、前向きに考えるというお返事を頂きました。その後、2002年1月から、私の提案どおりに、ロータリー親睦活動の中に、「各種の保健、医療問題に関心を持つグループ」が加えられると共に、ロータリー財団からの補助金がつくように改正されて、今日に至っています。
私の提案の詳細は「炉辺談話81、82 ボランティア活動に関する新しい発想」「炉辺談話145 ロータリー親睦活動とボランティア・グループ」に記載していますので、ご一読ください。今回の改正は、私の提案と全く一致するものなので、非常に喜んでいます。
|