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炉辺談話(310)

50年前のロータリー(クラブ管理)

 今から50年前、1955年版の手続要覧から、現在のロータリーと50年前のロータリーにおけるクラブ管理の違いを比較してみたいと思います。

欠席した会員は、直前6日から直後6日の間にメークアップをしなければなりませんが、原則として出席したクラブの幹事がその旨を報告しなければなりません。現在もメークアップ・カードが郵送されてくるのは、この当時の名残ですが、もし幹事が連絡しなければ本人が電信又は書面によって報告しても良いことになっています。
現在は、幹事がメークアップした会員の所属するクラブに報告する義務はなく、メークアップをした会員の申告によってメークアップは成立します。
クラブ会員が国際ロータリーの役員、ガバナー、ガバナーの特別代表、或は国際ロータリーの用務に従事するために、所属クラブの例会を欠席した場合は、本人より書面を以て所属幹事に報告すれば出席とみなされます。現在は、書面による提出は必要ありません。
すべての会員が、国際ロータリー大会、地域大会、地区大会、地区協議会、 又は正式に発表されたロータリークラブの都市連合会に出席した場合は、その旨の証明を本人より所属クラブへ捷出すれば出席とみなされます。これも現在は口頭による申告でメークアップが成立します。

応召会員には次のような規定があります。
国家の危急時に際して軍隊或はその他政府の公用に動員された会員を有するクラブは、理事会の意見として次のような処置をとることが出来る。会員であって、全時間公用に従事し例会に出席出来ないものは、その人がそのクラブの会員たることを続け、且つクラブがその例会欠席を承認してその会員資格を継続させる限り、例会に出席したものとみなしてもよい。別の言葉で云えば、クラブがもし欲するならば、応召会員に対して、国家の危急時の間、出席と認めて賜暇を与えても良いということになります。クラブの便宜のために「公用」とは何を指すかについて、一般的な定義を次のように下しています。
(1)軍隊に於いて現役兵としての勤務。
(2)政府及び地方庁に全時間勤務。
ここに述べた「応召会員」に関する説明は、「国家の危急時に放ける」軍務及び公用にのみ特に適用するものであり、その他の場合の軍務・公用には適用しないものと理事会では考えているようです。
すなわち、応召中の会員に対しては長期間の賜暇が与えられていましたが、それは、「国家の危急時」に限定されており、平時においては、一般の会員と同様な出席義務が課せられていたわけです。RI復帰前後の東京クラブがアメリカ軍人で賑わった裏にも、こう言った事情があるのかも知れません。なお、この規約がいつまで残っていたかは不明です。

最近はCLPの導入によって委員会活動の継続性が強調されていますが、当時は役員の留任は推奨されてはいませんでした。クラブ役員は、1年の任期で、代るがわる順番に就任するのが原則であり、連続して同一の職に就かないことが奨励されていました。
ただクラブ幹事だけは例外であり、長期間留任したり、反復して勤める例も数多くみられました。

役員の就任順序については、次のような取り決めがありました。
(1)委員長の経験のあるものがクラブ理事となる。
(2)クラブ理事或はクラブ幹事の経験のあるものがクラフ会長となる。
(3)クラフ会長或はグラフ幹事の経験のあるものが地区ガバナーとなる。
(4)地区ガバナーの経験のあるものが国際ロータリー理事となる。
(5)国際ロータリー理事の経験あるものが、国際ロータリー会長となる。
当時は、幹事候補者として入会してもらったのに、委員長に就任していなかったために幹事になれなかったり、長老の会員に会長を依頼したら、今まで一度も委員長の経験がなかったなどという話をよく聞いたものでした。なお、会長と幹事が共にクラブの代表者であることから、幹事を経験しただけでガバナーになった方もかなりいたようです。

当時は居住地で入会することができず、クラブのテリトリー内でクラブから貸与された職業分類で事業又は専門的職業に、現に、自ら、従事している者に限られていました。当時の理事会は、クラブの地域内に住所を持っている人に会員資格を与えるように、国際ロータリー定款を改正する意図はいささかもないと述べています。
住宅地にクラブを作るために、郊外電車の社長が、居住地の駅を事業所にしたり、急遽、自宅の玄関に会社の支店の看板を掲げたりしたという話も残っています。