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炉辺談話(311)

クラブ・リーダーシップ・プラン 6

先般来、クラブ・リーダーシップ・プラン(CLP)について問い合わせが多く、クラブにとって非常に関心の高いことが伺えます。その一方で、RI理事会が提案している委員会構成については反対意見もかなり多く、何とか従来の四大奉仕に基づいた委員会構成を継続したいと望んでいるクラブが圧倒的に多いようです。そのあたりの事情を加味した、モデル委員会構成を考えてみましたので、参考にしていただければ幸甚です。ただし、この委員会構成は、単なる一例に過ぎず、最終的にはクラブが自ら考えて制定する性質のものであることを付け加えておきます。

2005年6月末の統計によれば、遂にアメリカや日本だけではなく全世界で会員数が減少して、回復の兆しが見えなくなってきました。この傾向は他の奉仕団体でも同様ですので、奉仕団体全体が、生き残りを賭けたサバイバルの時代に突入したのかも知れません。
 今ロータリーでは、職業奉仕の理念が衰退して、ボランティア活動が主流を占めるようになってきた関係上、会員数が激減したクラブの存在が問題となっています。ボランティア組織ならば、何よりもマンパワーが優先しますから、会員数が激減しているクラブでは、積極的なボランティア活動を期待することは不可能となります。こういった弱小クラブでも何とかボランティア団体として自立していくための最小限度の管理組織を想定したものが、クラブ・リーダーシップ・プラン(CLP)なのです。言い換えれば、「機能を喪失しているクラブ」乃至は「機能を喪失しかかっているクラブ」が、「人道的奉仕活動をするボランティア組織」として生き長らえるためのプランだとも言えます。

 RI理事会が発表しているCLPの説明には「終焉の淵にあるロータリークラブを蘇生させる妙薬」であることが明記されています。さらに、このCLPの導入によって、会員基盤を維持、拡大し、地元地域社会ならびに他の国々の地域社会のニーズを取り上げたプロジェクトを実施、成功させ、資金の寄付およびプログラムへの参加を通じてロータリー財団を支援し、クラブの枠を超えてロータリーにおいて奉仕できる指導者を育てるために、効果的なクラブの管理の枠組みを提供して、ロータリークラブの強化を図ることが可能になると述べています。
 全世界レベルで見れば、会員数が十名以下のクラブも数多く存在し、これらのクラブでは、クラブを解散すべきか、それとも他のクラブと合併して生き残るべきかが真剣に議論されています。こういったクラブを対象にして、ボランティア活動をするための最低限必要な機能だけを残そうと言うのがCLPなのです。CLPに基づいて急遽作った推奨クラブ細則は、わざわざ第8条を新設して、「四大奉仕」について説明をしながら、第9条では四大奉仕とはまったく無関係に、小人数でも構成できる委員会構成を提示するといういささか矛盾した内容となっています。
 そこまでしなければ生き長らえることができないような小人数の機能喪失クラブが、果たして自分たちの地区に存在するのかどうかを考えた後に、CLPの採用を決断する必要があります。正常に運営しているクラブは、無理をしてCLPを採用する必要はなく、従来の推奨クラブ細則にのっとった四大奉仕に基づいた委員会構成を原則にして、不必要な委員会を統廃合することで、一人の会員が一つの委員会に所属するように対処することで、十分対応できるものと考えます。

CLPに基づいて、RI理事会が推奨している新しいクラブ細則では、五つの常任委員会で構成され、それぞれの委員長が理事に就任します。そして、必要ならばそれぞれの常任委員会の下に小委員会を設置することができます。

 クラブ運営 
委員会
会員増強 
退会防止
委員会
 クラブ広報 
委員会
奉仕
プロジェクト
委員会
ロータリー
財団
委員会

会員増強・退会防止委員会は少しでも会員数を増やし、退会者を減らすために、欠かすことのできない委員会ですし、如何に人数が減ろうともクラブとしての体面を守りながら組織を維持管理するためにはクラブ管理運営委員会も必要となります。従来のクラブ奉仕に関連する小委員会は、この二つの常任委員会の中に統合されるか、小委員会として設置されることになります。ボランティア組織として社会奉仕や国際奉仕の実践活動をするためには、奉仕プロジェクト委員会が必要ですし、その原資を集めるためにはロータリー財団委員会が必要となります。また、これらの奉仕活動を広くPRするためにはクラブ広報委員会の存在も欠かせません。すなわち、CLPに基づいた推奨クラブ細則では、ボランティア組織としての最低基準を保つことができるこれらの五つの委員会構成となっているわけです。

さて、そこで私たちが考えなければならないことは、奉仕活動の実践をしなければ、果たしてクラブの存在価値がないのかどうか、ということです。クラブの例会を通じて奉仕理念を学び、人格を形成するとか、事業上の発想の交換を通じて職業奉仕の理念を学ぶことはもはや必要がなくなったのでしょうか。ただ、がむしゃらにボランティア活動にうつつを抜かすことが、素晴らしいロータリー・ライフと言えるのでしょうか。クラブは、どんな活動をしたかではなくて、どんな人間を作ったかで評価されるべきであるという先人の言葉を思い起こすべきではないでしょうか。

推奨クラブ細則は、あくまでも推奨であって、それを採用するか否かはクラブの自由です。この推奨細則の冒頭にもそのことが明記されていますが、RIが推奨したものはそのまま採用しなければならないものと思い込んでいるクラブが多いことは、従来の細則が殆どそのままの形で、多くのクラブによって採用されていることからも明らかです。この推奨クラブ細則に示されている委員会構成をそのまま採用するのではなく、それぞれのクラブの実態に合わせた委員会構成を考えて、独自のクラブ細則を決定することが大切です。
 クラブ奉仕委員会をクラブ管理運営委員会と会員増強委員会の二つに分けて常任委員会にして、会員増強を重要視したことは一理あるとしても、四大奉仕の原則を捨てて、奉仕プロジェクト委員会に一本化することには、強い疑義を感じます。クラブの管理運営は、時代の流れに応じて改革が必要だとしても、奉仕理念は軽々しく変更すべきではなく、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕委員会は当然常任委員会として残すべきだというのが、多くの日本人ロータリアンの考え方だと思います。
 ロータリー財団委員会を常任委員会にすることにも疑義を感じます。地区レベルならばいざ知らず、クラブ・レベルで地区資金やマッチング・グラントを活用するケースは少ないですし、日本では奉仕プロジェクト実践の費用はニコニコ資金を利用するケースが大部分なので、その設置目的は財団寄付を集めることが主だと思われます。集金目的の委員会をクラブ・レベルで常任委員会にする必要が果たしてあるのでしょうか。ましてや、機能を喪失しかかっている弱小クラブに、乏しい数の会員の中から理事をこの委員会に割いて張り付かせる必要があるのでしょうか。
 広報委員会は極めて重要であり、特にクラブ会報や週報の発行、インターネットの開設、メーリング・リストによる情報伝達は今後ますます盛んになるものと推測されます。適切な広報は会員増強にも繋がりますが、少ない人数の会員でクラブ管理を行わなければならない場合は、小委員会にせざるを得ないような気がします。

 CLPに関するマニュアルは現在作成中とのことで、邦訳されたものが届くのは来年になってからだと言われています。しかし、来年度にCLPを採用したいと考えているクラブは、早急に委員会構成を検討する必要もあろうと思いますので、2680地区の現況を考えつつ、従来の四大奉仕に基づいた委員会構成にCLPの考え方を加え、かつクラブの規模を考慮しながら、一人の会員が一つの委員会に所属するようにした委員会構成のサンプルをご紹介いたします。これは一例に過ぎませんので、自分のクラブの実情に合わせて、独創的な委員会構成を考えてください。


大規模クラブ(60名以上)の委員会構成例

クラブ運営委員会 例会運営委員会 出席委員会・プログラム委員会を統合
規定委員会
親睦活動委員会
会員組織委員会 会員増強委員会 職業分類・会員選考・会員増強を統合
会員研修委員会 ロータリー情報委員会・雑誌委員会を含む
広報委員会 広報委員会
クラブ会報委員会
インターネット委員会
職業奉仕委員会
社会奉仕委員会 社会奉仕委員会
新世代委員会 必要ならばインターアクト委員会・ローターアクト委員会・青少年交換委員会を設置
国際奉仕委員会 世界社会奉仕委員会
米山奨学委員会
国際交流委員会 (ツインクラブなどで必要ならば設置) 
ロータリー財団委員会

中規模クラブ(30-60名)の委員会構成例

クラブ運営委員会 例会運営委員会 出席委員会・プログラム委員会を統合
規定委員会 (必要ならば設置)
親睦活動委員会
クラブ会報委員会
広報委員会 インターネット委員会を含む
会員組織委員会 会員増強委員会 職業分類・会員選考・会員増強を統合
会員研修委員会 ロータリー情報委員会・雑誌委員会を含む
職業奉仕委員会
社会奉仕委員会 新世代委員会 必要ならばインターアクト委員会・ローターアクト委員会・青少年交換委員会を設置
国際奉仕委員会 世界社会奉仕委員会
米山奨学委員会
ロータリー財団委員会

(30名以下)の委員会構成例

クラブ奉仕委員会 会員増強委員会
例会運営委員会
親睦活動委員会
会報広報委員会
会員研修委員会
職業奉仕委員会
社会奉仕委員会 新世代委員会
国際奉仕委員会 ロータリー財団委員会
世界社会奉仕委員会
米山奨学委員会