ロータリーの綱領第4項には国際奉仕の理念が、「奉仕の理想に結ばれた、事業と専門業務に携わる人の世界的親交によって、国際間の理解と親善と平和を推進すること」と定義されています。この定義に従えば、国際奉仕とは、国家という概念に捕らわれず、ロータリアン同士の信頼ある友情に基づいた国際理解と善意によって、現実に一つではない世界を一つにして、恒久の世界の平和を達成することを意図したものであることが判りますが、最近の国際奉仕の諸活動を見ると、この主目的が忘れ去られて、人道主義に基づいた援助活動である世界社会奉仕が主流を占める傾向が目立ちます。
世界社会奉仕を国際奉仕の範疇に入れることに対して、1957年度365地区ガバナー直木太一郎氏は、「国際問題の解決と国際奉仕の実践とを取り違えてはいけない。世界社会奉仕は、他国の飢餓問題とか貧乏の問題とかその他色々の困った問題を解決するだけのものであって、ロータリーのいう国際奉仕の実践ではない。ロータリーの国際奉仕とは個人同志の付き合いで世界平和を達成することである。」と述べています。
従って、綱領に従った純粋な国際奉仕活動は、国際青少年交換、ロータリー友情交換、国際親善奨学生制度、趣味職業別世界親睦活動、姉妹クラブ、ロータリアンによる個人レベルやクラブレベルの交流ということになります。
世界社会奉仕は1962年にニッティシ・ラハリーによって提唱された奉仕活動の実践形態であり、国境の壁を越えた金銭面、マンパワー双方による奉仕活動であって、その名の通り、国際的な分野にまたがった社会奉仕活動と言うことができるでしょう。ただ、その対象が外国ということから、国際奉仕部門に分類されたものと考えられます。
ロータリー理念はロータリアンが遵守しなければならない必要条件なので、綱領ではっきり定義されていますが、奉仕活動の実践はロータリークラブやロータリアン個人に委ねられた充分条件なので、綱領上は第3項に、「ロータリアンすべてが、その個人生活、事業生活および社会生活に、常に奉仕の理想を適用すること」と、述べられているに過ぎません。
人道的立場から国際問題を解決しようとする世界社会奉仕活動は、この第3項を基づくと考えた方が、ロータリーの理念との整合性が保たれると思います。
理屈はどうあれ、世界社会奉仕が国際奉仕部門に含まれることが明文化されている以上、実施に当っては、その具体的なプロジェクトを完結させることは当然としても、その奉仕活動を通じて両国のロータリアンが国際理解と親善を深め、平和を達成することを究極の目的とする必要があるのではないでしょうか。
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