奉仕こそわがつとめ
1948年にRIから発行された[奉仕こそわがつとめ]Service is my Business は、1949-50 年度RI会長パーシー・ホジソン
Percy Hodgson が書いた職業奉仕の解説書であり、過去のロータリー運動の中で取上げられた職業奉仕の具体的な事例を豊富に盛り込んで、職業奉仕を実践するに当って、ロータリアンが取り組まなければならない課題を、項目別に問題提起したものです。
職業奉仕の理念を現実の職業生活の中でどのように実践していったらよいのか、具体的な取り組み方が判らない人でも、この文献を読めば完全に理解できるはずです。
なお、パーシー・ホジソンは自分が会長を務める年度の奉仕理念を分かりやすく示すための方法として、今日のRI会長テーマ Rotary International
Themes の原型ともいうべきObjectives of Our Team for 1949-50 を掲げ、その最初のテーマの中心となった言葉が[奉仕こそわがつとめ]Service
is my Business です。
第1章 クラリオンの呼び声
*同一職種のロータリアンとロータリアンでない人々とが、どのようにして利益を分かち合うべきか。
[職業奉仕とは、ロータリアンがロータリーの職業奉仕を実践して得た利益をロータリアンでない他の人々と共に分かつこと、即ち一般の人々とロータリーの理想を共に分かつことである]
第2章 職業を権威あらしめること
*日頃の職業生活で奉仕の理想を実践している地域社会の人々が、世間から讃えられるようになるためには、どうすればよいか。
[ロータリー・モットー及びロータリーの綱領に示されているように、世の中で有用な全ての職業の価値を認識し、職業倫理の向上によってその権威を高める]
第3章 敵を愛せよ
*社会に対する共通の奉仕を推進するために、どのようにして同業者と協力するか。
@同業者間の友情を培うこと
Aこれらの友好関係が価格協定に繋がらないよう注意すること
B商標名の模倣や競争業種からの従業員引き抜きを慎むこと
C個人的な特別な関係のない限り、商売上での特別な便宜を友情の名を借りて依頼しないこと
D競争者という言葉を忘れ、同業者として接すること
第4章 現代のギルド
*同業者の職業倫理基準を高揚するために、何ができるか。
[ロータリークラブ創立に際して最も重要なことは、地域社会における全ての有用と認められた職業の優れた代表を、会員として獲得しなければならないことである。同様な考え方は、新会員を選考する場合にも当てはまる。ロータリアンはその事業を成功に導かなければならない。ロータリアンは職業上の優れた技術者でなければならない。ロータリアンは疑いを差しはさむ余地のない人格者でなければならない。ロータリアンは技術上、倫理上の高い水準を保持し、更にその水準を高めるように努力しなければならない。ロータリークラブこそ、将に優秀な芸術家の集合体であるともいえる]
第5章 誠意
*職場の同僚の誠意をどのようにして高めるか。
[人間相互の誠意は買手および売手間のすべての取引の本質的な要素である。競争者が相互の誠意を信じれば、自然に友好的な協力関係が生まれる。雇主と従業員も、お互いに誠意と尊敬に基づく信頼感があれば、仕事は最大の能率をあげることができる]
第6章 正直は失われつつあるか
*買手への贈り物やチップの習慣に対して、どのように対処するか。
[不公正な商習慣と知りつつ、その誘惑に負けてしまい勝ちだが、果たしてロータリアンは非ロータリアンよりも、その誘惑に負けることが少なかったかを、自問しなければならない。あらゆる職業上の不公正な誘惑、即ち二重価格、抱き合せ販売、価格つり上げ、闇カルテル、不良品の見逃しの機会など、多くの不正の機会が提供され、ついついその誘惑に負けることが多い]
第7章 真実かどうか
*商圏内の広告基準をどのようにして改善するか。
@広告の体裁や効果を高めることに主力を注ぎ、商売上重要な説明をおろそかにしてはいないか
A写真や説明文は商品を客観的に説明しているか
B科学的な証明とか、冷厳な事実とか、秘密値段といったセンセーショナルな文章が、実際の商品を粉飾するために用いられてはいないか
C専門以外の名士の推薦の辞が、技術上の優秀さを示す正直な証言といえるか
D謝礼金を払って証言させた広告を用いてよいか
E以前は十ドルの品とか百ドルの価値ある品というような比較の言葉が、値下げした商品の値段を実際に下げたことを証明することになるであろうか
Fその広告を出すことに関係した者全部が、全社会に対する責任を充分自覚しているか
第8章 人間関係の開拓者
*買手と売手との関係を改善するために、どのような取り組みをしているか。
@何故・・人々は買うのか。価格や品質と共に顧客の欲求や夢を満たすことが重要な要素である
A何を・・顧客は実際に求めるのか。顧客自身が選択し決定することを前提とした、正確かつ充分な情報提供
B如何に・・顧客の要求を満たすために如何に環境を整備したか。従業員の専門的訓練
C例え、その職業が物品の販売でなくとも、これらの取組みは職業人と顧客との関係に応用することができる
第9章 心の通い路
*ロータリーの目的を従業員に理解させるために、どのような努力をしているか。
[従業員が不満をのべたときの対処法
@従業員の話を耳を傾けて聴くこと。従業員が胸中思っていることを全て吐き出させたとき、多くの問題は独りでに解決する。
A雇用主の理論をふりかざして、議論しないこと
B説教しないこと。説教は一方的な意見の押しつけととられ意思の疎通を妨げる
C従業員がいわんとすることに注意を払い、それをはっきりいわせるよう助力すること
D道徳的基準で推し量ったり、それを態度を示さないこと
E自分の感情を差しはさまないこと
F自分が従業員の言い分をどの程度理解できたかを自問し、同時に、ときおり、従業員の見解を要約して、次にいわんとする処を引き出すこと
Gこのような会見で、雇主が示す態度は、従業員にその不満を残りなく話させるようにし、苦労を理解してやり、そして解決を見出す努力をすることである。
第10章 従業員に対する公正な扱い
*従業員を公正に扱うために、どんなプランを練ったか。
@生産に携わる人たちが、経営陣や管理職の人たちから公正な扱いを受けていてるか
A彼等の安全が保証され、 且つ安全が保証されていることを感じとれる環境になっているか
B彼等が情熱を傾けて仕事に励むように努力が払われているか
C彼等の給料は適当な生活を保証するに足りるか
D彼等は能力があれば昇進できることを自覚しているか
E最高の刺激、創造的活動が喚起できる環境が備わっているか
F彼等が人間の尊厳を高める感覚を持ってその仕事を行えるか
G彼等が仕事を通じて、役割の重要性、責任感、地域社会に対する責任を感じとれる仕組になっているか
H彼等は自分の任務を遂行することが、人間の尊厳に繋がることを理解しているか
第11章 ロボットか、人間か
*職人魂を引き出すために、雇主はどんな方法を講じたか。
@お互いが同輩から尊厳を受ける職場環境にあるか
A物質的にも恵まれ、経済的に安定しているか
B自己の業務に対して責任ある立場にあるか
C自分に当てがわれている仕事が、事業の発展と知識吸収に役立つか
D自分の職業が生計を保全する基礎になっているか
第12章 職場における将来のマン・パワー
*職場において、若い従業員とのコミュニケーションが円滑におこなわれているか。
[青少年を雇用する場合の注意義務が述べられているが、青少年奉仕に対する考え方と重複するので省略]
第13章 協調の礎石
*労働組合の幹部をロータリークラブの会員に迎える可能性について、検討したことがあるか。
@従業員が求めるもの・・公正な給料、業務上の安全の保証、業務上の刺激、やりがいのある業務)、業務能力の認識、経営参加
A雇主が求めるもの・・仕事量に見合った公正な給料、雇用主に対する忠実と好意、生産量の増加、経営の主導権保持と計画立案、投資に対する公正な配当
第14章 ロータリークラブの運営
*どのような職業奉仕のプロジェクトが、クラブ会員の職場にふさわしいかを検討したか。
第15章 今ぞあなたの働く番
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