.
炉辺談話(59)

WCS活動の留意点

 人道主義に基づく奉仕活動が、ロータリーの奉仕活動の主流になり、且つその活動の中心は同額補助金を適用したWCSになってきました。年2回発行されるWCSプロジェクト一覧表を見ると、自分達だけの奉仕活動では金銭的にも、マンパワーの上でもどうにもならなくなった発展途上国のロータリークラブから寄せられた、おびただしい数の援助要請が収録されており、その需要がいかに多いかがわかります。

 WCSを失敗しないで、かつ効果的に実施するためのアドバイスを述べてみたいと思います。
@提唱側(援助側)、受領側(実施側)は共にロータリークラブまたは地区であること
 現地のクラブまたは地区が現実に実施しているロータリーの社会奉仕活動に、外国の地区やクラブが経済的援助をするのがWCSですから、双方のロータリーの介在が前提条件になります。相手がロータリー以外の組織、ロータリアン個人の場合は、厳密にはWCSではなく、同額補助金も認められません。

Aプロジェクトの確認
 そのプロジェクトがその地域において本当に必要なプロジェクトかどうかを確認する必要があります。
 日本を絶好の援助国と見て、毎日のように数多くの援助要請が寄せられています。別のクラブが日本から援助を貰ったので、うちのクラブも貰わなければ、といったものもあり、その傾向は、援助を受けることが日常化している国で強いようです。中には単なるおねだりのようなものや、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる式のもの、更にはロータリアンにあるまじき詐欺のようなものさえ含まれています。
 従って、本当に必要なWCSなのかを充分に事前調査することが必要です。

*     現地の地区や近隣クラブ、大使館、JICA等を通じて、そのプロジェクトの必要性や概要を調べてもらう。
*     既にその国で活動している他のクラブや地区を通じて情報を収集する。
*     現地に行って、プロジェクトの必要性や現地クラブのプロジェクトに対する取り組み方を調査する。東南アジアの国ならば、20万も出せば渡航費用はまかなえますから、これが一番確実な方法です。既に現地で活動している他のクラブや地区のミッションに同行するのも一つの方法です。なお、この調査旅行の補助金としてカール・ミラー補助金がありますから大いに利用すべきです。

B     WCSとして正式に申請し、かつ同額補助金を利用すること。
*     WCSとして登録されていないプロジェクトでも、新たに登録することが可能です。
*     正式なWCSプロジェクトなら、同額補助金の対象となりますし、受領側に使途や会計報告の義務が生じるので安心感があります。
*     RI(日本サービスセンター)を介して送金すれば、安全で確実です。
*     同額補助金制度を採用すれば資金が倍になります。(恒久的な建築物や人件費は同額補助金の対象にはなりません。)
*     地区活動資金DDFを積極的に活用すべきです。
*     有効な同額補助金活用例
 クラブ資金  5,000ドル
 地区資金   5,000ドル
 同額補助金  10,000ドル
 合計     20,000ドル
 即ち、5,000ドルのクラブの資金が、地区資金および同額補助金を利用することによって、20,000ドルに増やすことができます。

C     寄贈する品物や設備は、現地調達を原則にすること。
*     通関、運賃に思わぬ金額がかかることがあります。200%の関税がかかる国や公然と賄賂を要求する国もあります。港がなく、内陸部にある国では、びっくりするような運送費を請求される場合もあります。
*     現地で確実に使える品物が購入できます。過去に、多くの寄贈物が、電圧の違い、各種規格の違いで無駄になっています。
*     途中で消えてしまうこともあります。
*     現地調達をすることによって、結果的に現地の人を潤す配慮も必要です。