レストラン協会道徳律
1911年、アーサー・フレデリック・シェルドンがHe profits most who serves bestのモットーを提唱後、これを会員の事業所で適用するための具体的な指針として、全分野の職業人に対するロータリー倫理訓、いわゆる道徳律が制定され、1916年のサンフランシスコ大会においてこれが収録された「ロータリー通解 A
Talking Knowledge of Rotary」が全員に配布されたことを以って、職業奉仕理念の提唱は完成したと考えられます。
このようにして開発された職業奉仕の理念は、1916年頃から、ロータリアンが経営する事業所にその道徳律を適用するという形でその実践が始まっていきます。
1925年のRIの発表によると、ロータリアンが自ら制定に関与して、正しく実行されている、全世界のロータリアン企業の道徳律は145に上ることが報告されています。
ガイ・ガンディカーが作ったレストラン協会の道徳律には次のような内容が定められています。
1. 雇用主と従業員との関係
雇用、新入社員対策、昇給の機会、研修、雇用期間、労働条件、解雇、リクリエーション、福利厚生、能力の評価判定、雇用、解雇、賃金、労働時間、休暇、安全規則、省力化対策、健康、若年労働者の福祉対策
就業規則のみならず、現在の労働諸法規が網羅されており、特に若年者の危険作業や、深夜労働が当然だとされていた1920年代にこれが制定されたことは脅威に値するものです。
2. 納入業者との関係・・納期、支払い条件、リスク負担
3. 同業者との関係・・公正な競争
4. 業界全体との関係・・業界全体の職業倫理高揚、同業者組合の結成
5. 一般社会・行政との関係
6. 顧客との関係
この中には、食品の品質管理、代替品の使用禁止、規格化されたメニュー、不当表示や誇大広告の廃止、定価販売、接客態度、チップをくれる客の選り好みの禁止、商品知識、等が詳細に定められています。
当時の世界中のロータリアンが、単に職業奉仕理念の提唱をするだけではなく、自らの職場の中で適用する道徳律を作って、それを実践していったことを忘れてはなりません。そして、公正な自由競争ができる環境を整備し、ロータリアンが自らの事業を伸ばし、なおかつ、一般大衆からも尊敬の念で見られるバック・グラウンドを作っていったのです。