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炉辺談話(69)

ライオンズとは

 我々ロータリアンが、何かにつけて対比する奉仕クラブにライオンズ・クラブがありまい。しかし、我々が知っているのは、I serve 対 We serve、毎週の例会 対 隔週の例会、位のものであって、案外詳しい内容は知らないのが現実です。
 そこで、今回は、ライオンズ・クラブ国際協会337複合地区研修会資料より、ライオンズ・クラブの実態を3回に分けて掲載してみたいと思います。

ライオンズ・クラブの誕生

 ライオンズ・クラブは国際的につながりのある社会奉仕団体で、ライオンズ・クラブ国際協会といいますが、誕生地はアメリカです。今から約80年前にシカゴに住む若い保険会社員であるメルビン・ジョーンズは、ある事業団に加入して会員としてよく活動していましたが、何か飽きたらないものを感じ、社会のために何か有益な団体として改組できないものかという夢を抱きはじめ、国内の各種団体に呼びかけて、社会奉仕団体として改めることに成功し、1917年10月8日から3日間、22の各種の団体の代表者36名がダラスに集合して結成大会が開かれ、正式にこの大会において社会奉仕を目的としたライオンズ・クラブ国際協会が発足したのであります。

(注・メルビン・ジョーンズについては、もともとロータリー・クラブに在籍していましたが、金銭的、団体的奉仕活動をするという考え方が受け入れられなかったために、ロータリーを離れてライオンズを作ったという説と、職業分類が充填されていたために、ロータリーに入れなかったので、ライオンズを作ったとしう説があります。この解説では、ある事業団に加入していたと記載されおり、それがロータリーであったか否かは判りません。)

ライオンズの性格と目的

 ライオンズは国境を越えて、世界を一つに結び、人類愛に連なる社会奉仕団体です。その活動は自己の利益をもたらすためのものではありません。また宗教や、政治上の利益を目的としたものでもありません。勿論、単なる社交機関や慈善団体でもありません。
 徳性と知性・友愛と寛容の精神を養いつつ、その対価を目的としない純然たる社会奉仕をモットーとした団体であります。即ち We Serve“われわれは奉仕する”これが目的です。

(注・ライオンズは職業奉仕団体ではなく、人類愛に基づく社会奉仕団体、すなわちボランティア団体であり、We serveを前提に奉仕することが明記されています。)

名  称

 ライオンとは勇気・力・誠実・行動を象徴するものであり、りっぱな・強力な・そして勇猛な動物であるというより、偉大な行為・高い理想と言った伝統的な観念を意味するものである。
 ライオンズ・クラブの正式の名称は「ライオンズ・クラブ国際協会」と称し、その本部は米国イリノイ州オーク・ブルックに所在する。そして協会のシンボル・マークは、紫の外輪の中央に黄金でライオンズの頭文字Lを配し、左右から2頭の黄金のライオンの横顔で包囲し、上段にINTERNATIONAL と書き込まれている。
 ライオンの一頭の横顔は過去の輝かしい歴史を、他の一頭は前途遼遠たるライオンズの未来を見つめていることを語っている。また紫は国家・友人および自己自身・更に自己のよごれなき良心に忠実であることを意味し、金色は清廉な生き方・真筆な志・片寄らない判断・寛大な心を持って人に摸し、物心両面の援助を惜しまないことを意味づけている。そして紫と黄金のライオンズ・カラーは協力と陶治・啓蒙と呼応および更新を象徴しているものである。
(ロイアル・ブルーとゴールドがロータリー・カラーであることを考えると、両クラブの対比がおもしろい) 

モットー

 We serve  われわれは 奉仕する

スローガン

 Liberty,Intelligence, Our Nations Safety

(自由を守り、知性を重んじわれわれの国の安全をはかる)

Liberty                    自 由
Inte11igence            知 性
Our                     我々の
Nations                     国 の
Safety                   安 全

(注・Liberty,Intelligence, Our Nations Safetyのそれぞれの頭文字を組み合わせると LIONS となります。)


現   況

1. 加盟国または領域     182ケ国(1999年5月31日現在)
  世界のクラブ数       44,490
   世界の会員数            1,436,362
2.日本のクラブ数       3,317(1999年6月30日現在)
   日本の会員数           153,455
(注・ちなみに同時期におけるロータリーの現況は、1999年6月30日現在164ケ国、1,193,461名、29,728クラブ)

 ライオンズ・クラブ国際協会の目的 

   Ø        世界の人びとの間に相互理解の精神をつちかい発展させる
Ø        よい施政とよい公民の原則を高揚する
Ø        地域社会の生活・文化・福祉および公徳心の向上に積極的関心を示す
Ø        友情・親善・相互理解のきずなによってクラブ間の融和をはかる
Ø        一般に関心のあるすべての問題を自由に討論できる場を設ける。ただし、政党・宗派の問題をクラブ会員は討論してはならない
Ø        奉仕の心を持つ人びとが個人の経済的報酬なしに社会に奉仕するようはげまし、また商業・工業・専門職業・公共事業および個人事業の能率化をはかり、道徳的水準をさらに高める
(注・ロータリーとほぼ似通った目的をあげていますが、職業奉仕に関する思考の欠落と、無償の社会奉仕を強調しているところが、ロータリーと大きく異なっています。)

ライオンズ道徳綱領

   Ø        職業に対する不断の努力が正しく賞賛されるように心がけ、自己の職業の尊さを確信すること
Ø        事業を成功させて、適正な報酬や利益は受けるべきであるが、自己の立場を不当に利用したり、人に疑われる行いをして自尊心を傷つけてまでも利益や成功を求めないこと
Ø        事業を遂行するにあたっては、他人の事業を妨害しないように心がけ、顧客や取引先に誠実であり、自己にも忠実であること
Ø        世人に対する自己の立場や行いに疑いが生じたときは、世人の立場に立って解決にあたること
Ø        真の友情は損得の上に築かれるものでなく、心と心の触れ合いによるものであることを自覚し、手段としてではなく目的として友情をもつこと
Ø        国家および地域社会に対する公民の義務を忘れず、かわらぬ忠誠を言動にあらわし、すすんで時間と労力と資力をささげること
Ø        不幸な人には同情を、弱い人には助力を、貧しい人には私財を惜しまないこと
Ø        批評は謙虚に、賞賛は惜しみなく、建設を旨として破壊をさけること
(注・ロータリーの道徳律、または職業宣言に相当するものです。職業奉仕団体を表明していないにもかかわらず、素晴らしい道徳綱領を制定しています。)

 

ライオンと呼ばるる人

事業を成功に導き、善良な生活を楽しみ、常に微笑をたたえ、人類を愛し、知識人の尊敬を集め、幼児たちに親しまれる人
 その地位にふさわしく、かつ精力的な仕事ぶりにより、一輪の花と心うつ詩とそして、うるわしさを秘めた魂とによって、よりよき社会をもたらす人
 人生の中に美の輝きを感じ、その賛美の言葉を忘れず、友の美点をつねに見守り、自らの良きところをまた友に贈る、その人生こそ偉大なる感激そのもの
 彼こそライオンと呼ばるる人

ライオンズの誓い

われわれは知性を高め、友愛と相互理解の精神を養い、平和と自由を守り、社会奉仕に精進する。
(自己研鑽、親睦、国際奉仕、社会奉仕の理念はロータリーと似通ったものですが、職業奉仕に該当する理念はありません。)

ライオンズ・クラブの例会

 クラブの例会は月2回開催されますが、例会出席は各会員の基本的義務の一つであって、その例会を興味があり素晴しい例会に計画することは、クラブ運営にとって大切なことであります。それは毎月の例会に会員が集合し、会員相互間の友愛精神を深めるためにも大切なことであって、そのためには計画委員会において、詳細な計画とよく準備された諸事業が必要であります。
 たとえば、全会具による元気な合唱とか、ソングリーダーとか、練達なテール・ツイスターの活動とか、ことに例会における開会・閉会の時間の厳守等、即ち計画委員会は各例会の藷準備の責任者でその努力が必要であります。
 例会についての順序は、ライオンズクラブの会則及び附則に示されておりますが、下記の左側は例会の標準プログラムであって、クラブではこの標準プログラムの意に則って、右側の順序で大体開催されていますから、クラブによっては多少違ったところもあります。

プログラム

      1. 開 会 ゴ ン グ
      2. 国  歌  斉  唱
      3. ライオンズクラブの歌斉唱
      4. ゲスト及びビジター紹介
      5. 会  長  挨  拶
      6. 幹  事  報  告
        @ 報告並びに協議
        A 委員長の報告
      7. ゲ ス ト の 講 演
      8. また合 う 日 まで
      9. ライオンズ・ローア
      10.閉 会 ゴ ン グ
      11.解        散

例会出規定

 ライオンズクラブの会員は毎月2回開催されるクラブ例会に出席することは極めて大事なことであるが、例会に出席出来なかった場合、次のようなメーク・アップ規則があります。この規則に則って、行動することが最も肝要なことであります。

1.例会の前後それぞれ13日間以内に次のいずれかに該当する場合は例会に出席したものとみなされる。
  a)      他クラブの例会あるいは特別会合
  b)      所属クラブの理事会の会合
  c)      所属クラブの常設委員会の正式会合
  d)      所属クラブ主催の会合.クラブ・アクティビティ資金獲得活動を含む
  e)      リジョンあるいはゾーンの会合
  f)      国際大会、東洋・東南アジアフォーラム、複合地区・地区大会あるいはその他の正式なライオンズの会合
  g)      上期期間中における国際本部、外国の地区あるいは複合地区事務局訪問(訪問の証明書が用意されている)
2.    病気のため欠席した会員は医師の診断書を提出することによって、自動的に出席したものとみなされる
3.    軍務、証人として裁判所出席、公務出張、公職選挙法による公職、条例の要請のため欠席した会員は出席したものとみなされる。この場合証明書の提出を求めるかどうかはクラブの理事会が決定する
4.    職務の関係で相当日数にわたる出張(海外出張を含む)のため、例会に出席不可能であり、クラブが正当と判断した場合は出席とみなされる。
5.    近親者(配偶者、2親等内の血族および1親等内の姻族)の喪に服する場合10日以内は出席とみなされる。
6.    会員が出席メーク・アップの必要要件を満たしていることを証明する責任はクラブ幹事にある。
7.    妊婦または出産のために会員がやむをえず例会を欠席しなければならない場合、クラブ理事会とその会員が適切であると合意した期間は、出席したものとみなされる。 

 ライオンズクラブはさまざまな地域的人道的な事業活動を計画し実行しています。これらの活動はライオニズムに基づく広範な主要活動の事業委員会に分けられ、クラブはこれらの幅広い活動の中から特定の事業活動を選択することが出来ます。その事業委員会は次の通りです。

LCIF(Lions Chbs International Foundation)

ライオンズクラブ国際財団は、国際協会によって1968年に設立され、ライオンが人道主義的奉仕と業績を世界に広めるためのユニークな手段です。財団の仕事は諸クラブの奉仕活動を補完するものであり、ライオン相互の協力を必要とする人道主義的奉仕のために、会員・クラブ・地区から財源を拠出願っています。
 財団は、「われわれは奉仕する」というライオンズのモットーを全世界に広めるための運動を展開しています。
 財団からの交付金は、財団の主要目的である災害救助・職業訓練援助・人道主義的奉仕の趣旨に沿って、ライオンの活動を後援することになります。開発途上国における多数の困窮者の視力回復事業は、財団の交付金によって援助される数多くの活動のひとつです。
 財団は貧しい学生たちのために、その国々で職業訓練を実施していますが、さもなければ学生たちの将来は寒心に堪えないものとなるでしょう。
 財団はまた、災害に袈われた学校・病院・公共施設、地域の再建を援助する長期間の救助活動を行っています。
 LCIF芳名録とメルビン・ジョーンズ・フエローは、顛著な功労のあった生存者をたたえるばかりでなく、故人となった功労者の栄誉をも永遠に記念するものです。 すべてのライオンは、財団への善意の拠出を通して、財団の国際的活動の積極的な後援者となる機会をもつことになります。クラブ単位で又個人でLCIFに対し、善意の拠出を切望する。
 LCIFは1991〜94年にかけて視力ファースト・キャンペーンを実施し、1億4,450万ドルの資金を指定拠金であつめた。現在世界的に視力保護に貢献中である。

視力保護盲人福祉

ライオンズクラブは、緑内障検査診療所、アイバンク、リハビリテーション・センターなどを設立してきました。また、職場を用意したり、援助を必要とする盲人学校に奨学金を支給したりしています。なじみのある「白い杖」はライオンズによって広められたものであり、またクラブは、盲導犬やその他の運動用必需品を供与しています。

聴力言語障害者福祉

難聴学生のいる学校に聴力検査設備を提供し、この種のハンディキャップを負う若人たちには奨学金を支給しています。ライオンはまた、子供や大人の聴力検査を行い、さまざまなリハビリテーション・サービスを実行し、貧しい人びとには補聴器の支給や修理を行っています。

市    民

ライオンズは、愛国心や市民意識を高めるための特別の行事を主催したり、ボーイ・スカウト、ガール・スカウト、ガイドその他数多くの若人たちのグループを後援しています。法の首重、犯罪者のための福祉などの活動も、ライオンズクラブが後援する重要なプログラムです。

教    育

ライオンズは、毎年数多くの奨学金を支給しています。またクラブは、高等学校で就職相談の夕べを催し、地域の知名人を招いて、卒業生たちの進路相談に応じています。恵まれない地域での文盲追放運動や、職業訓練もまた、多くのライオンズクラブの活動計画項目の中で高い地位を占めています。

環境保全

ライオンズは、環境間鹿に対する人々の関心を高める方法を研究しています。自然環境(空気・土壌・騒音・水)または、社会環境(人口計画、アルコール、薬害等に関する教育および道徳)の両分野において、ライオンズでは他の組織団体や政府機関に協力しながら、より住みやすい健全な環境の設立に努力しているのです。

公衆安全

この広汎な活動の一つに、食糧の生産と保全のための最新の方法について情報を流すことがあります。クラブは、都会でも、田舎でも、その地域社会に関するさまざまな活動計画、特に、交通、家庭、農場、学校、レクリエーションの安全に重点をおいた活動計画を実行しています。

レクリエーション

ライオンズは、運動場を作ったり、レクリエーション用具を寄付したりしています。また、地域集会場、水泳プール、庭園や町の広場なども作っています。
 ライオンズは、フットボール、バスケットボール、ホッケー、サッカーその他の若人たちのスポーツ・チームを後援しています。
 クラブは、カーニバル、ピクニックその他さまざまな祝いごとを計画し、実行しています。

保    健

 ライオンズは、発展途上国の地域に広範囲な医療援助を提供し、また、幅広く検診と予防活動計画を組織化しています。各種の医療研究機関もまた、クラブや地区から多くの寄付を仰いできました。
 ライオンズはまた、薬品教育活動計画を実行して、薬の乱用を抑制することに積極的に取り組んでいます。

国際関係

ライオンズは、数多くの国際的交友関係をきずきあげてきましたし、また、世界的な援助活動計画に参加しています。
 ライオンズは、ライオンズ国際財団と国際連合の人道的目的を支持し、ケアーと密接な協同関係にあります。
 ますます多くの若人たちが、毎年、青少年交換活動計画に参加しつつあります。

社会奉仕

ライオンズは,心身障害者、老人、恵まれない人びとのための数多くの活動計画を支援しています。
 クラブや地区はまた、孤児院、老人ホーム、心身障害者のためのリハビリテーション・センターなどを建設してきました。多くのクラブが、定期的に恵まれない人びとに食糧を供与しています。 地域社会が必要とするところ、そこには、いつもライオンズの奉仕活動があります。

レオクラブ・プログラム

レオクラプ計画の発足以来、レオクラブは数多くの重要な活動を行ってきましたが、それは不幸な人びとを助け、地域社会の改善に寄与することを主たる狙いとするものでした。
 レオクラプは、青年たちにリーダーシップ、経験、機会の重要性を強調しつつ、積極的な関心と参加意欲をもつ市民に成長するチャンスを提供しています。

ライオネスクラブ・プログラム

ライオネス計画は、全世界の婦人にライオンズクラブを通して困窮者に奉仕する機会を提供しています。ライオンズクラブ会員の夫人や、地域社会に関心のある婦人たちは、ライオンズクラブと同様に多彩な奉仕活動を行っています。

青少年交換プログラム

ライオンズクラブは、青少年交換活動に参画して、国際的相互理解と善意に大いに貢献しています。
 スポンサークラブによって適格者として選抜された青少年たちは、ホストクラブのゲストとして外国を訪問します。そして典型的な地域社会生活を観察し、外国の文化と人びとについての知識を深めます。派遣期間は4〜6週間が普通です。

国際ユースキャンプ

ライオニズムによる最初の青少年キャンプは、1963年にスウェーデンの101複合地区のライオンたちによって実施されました。その時以来、数多くの青年たちが国際的なキャンプ生活の体験を共にする機会をもつことができました。

少年指導

次代を担う青少年を健全に育成指導することは、ライオンズクラブの大きな奉仕活動の一つです。日本に於ては増大しつつある青少年の非行化、薬物の乱用、いじめ問題、登校拒否などにどのように対応するかという事が今後検討されるべきでしょう。
 社会問題になっているともいわれる登校拒否児の教育は、公的機関だけでは解決できる問題ではなく、民間ボランティアによるシユーレく再教育・寺子屋式学校)の設立、運営が必要となるでしょう。
 豊富な人材を要するライオンズクラブやレオクラブも色々な面で支援することができます。

糖尿病教育

ライオンズは、糖尿病の危険に対する人々の認識を深めるため、教育と早期発見に特に力を注いでいます。
 その方法として、講演会やセミナーを行い、それに伴って検参事業も行っています。糖尿病に関する資料を作成し、糖尿病教育の事業実施の際に一般の人々に配布するクラブも多くあります。
 世界のライオンズは、リサーチも全面的に支援しています。 尚、1996年よリアイヘルス委員会が設置され活動を開始した。


(ライオンズ・クラブ国際協会337複合地区研修会資料より)