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炉辺談話(8)

  「狼は群の力であり、群は狼の力である。」これは、ルドヤード・キップリングが、短編集「ジャングル・ブック」の中の「ジャングルの法則」で述べている言葉です。キップリングは1865年生まれで、1907にノーベル文学賞を受賞した、イギリスの愛国詩人と言われる人です。ポール・ハリスと同年代に活躍した人ですから、あるいはロータリアンであったかも知れません。

 この言葉を最初に引用してロータリーを語ったのは、1917年のRI会長レスリー・ピジョンが会長エレクト時代ですが、後年、ハロルド・トーマスも、この言葉が特に気に入ったと見えて、彼の著書「ロータリー・モザイク」の中で再三引用しています。

 ハロルド・トーマスは、1959年にRI会長を務めたニュージーランド出身のロータリアンで、「ロータリー・モザイク」という名著を残しています。モザイクは形も色も大きさも異なったタイル片を組み合わせて作ります。ロータリーも人種や言語や宗教やそして考え方さえ違った人が集まって作り上げるモザイクのようなものだと言うことで、この題名をつけたといわれており、1905年から1970年代までのロータリーの思想の移り変わりを詳しく解説した本です。その本ので、キップリングの「ジャングルの法則」が度々、引用されています。

「狼は群の力であり、群は狼の力である」
 この言葉は一体何を意味するのでしょうか。一匹、一匹が強靭な体力と優れた頭脳を持っている狼は、群を作って行動します。群には必ずリーダーがいて全体を統率します。
 リーダーが優れたリーダーシップを発揮し、他の狼がチームワークを組んで一糸乱れぬ行動をするとき、その力は計り知れないものに変化します。羊は例え1000匹集まったとしても何の力も発揮出来ません。群から離れた一匹狼も、荒野をたださまようのみで、やがてはのたれ死にする運命が待っているのです。

 この話は I serve とか We serve とかの次元の話ではなく、ロータリアン個人個人は皆素晴らしい能力を持っていることを前提として、それに強力なリーダーシップと、揺るぎなきチームワークが加わったらどうなるかを説いているのです。
 魅力あるクラブには、必ずといっていいほど、優れたリーダーシップを持った会長がおり、全会員のすばらしいチームワークによって、クラブの運営がなされていくのです。