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炉辺談話(80)

ロータリーの中間管理組織

ロータリー思想の一元化を図り、拡大を容易にし、更に数多くのクラブの管理を容易にするために国際ロータリーが1922年に設立され、新しい定款・細則が制定されました。これ以降に創立されるクラブには、この定款・細則が適応されることになりますが、それ以前にできていたクラぶは特権保有クラブとして独自の定款を持つことが許されています。

イギリスとアイルランドのクラブ群は、地域の特性に適応した管理が必要という理由から、1913年にイギリス・ロータリークラブ連合会BARCという中間管理組織(現在のRIBI)を作り、独自の定款・細則のを制定して、クラブ群の管理を行っています。

パスコール会長の片腕として活躍した、ロンドンのロータリアン、ビビアン・カーターは、自らの著書The meaning of Rotaryの中で、その理由について次のように述べています。
「アメリカから離れている地域では、自らの連合会による管理を行うべきである。国際ロータリーの理事会は、殆どの場合はアメリカ人である会長を含んで6名のアメリカ人と、その他の国の理事5名で構成されている。しかし、殆どの理事会は必要最低限にしか開催されず、殆どの話し合いは、北アメリカ選出の理事が行っている。
地域のニーズを満たすためには、理事会運営の権限をもっと分散し、さらに、イギリスやヨーロッパだけではなく、もっと多くの地域で、地域管理の形が取られるべきである。」

日本はこれに倣って(もっとも、軍部の圧力に耐えかねてという別の理由もあるのですが)、日満ロータリー連合会を作りましたが、その直後にRIから離脱する結果となりましたし、南アメリカで起こった同様な動きも、強い反対を受けて潰されたという経緯があります。

さて理事会の運営は、現在もあまり変わらず、理事会に提出される議案の殆どは、アメリカに常住している一部の理事と事務局を中心に、事前に作られており、理事会はそれを承認するだけというのが現状のようです。
これではアメリカ人の思考に基づいたRIの運営や奉仕活動の提唱となり、日本のロータリアンとの温度差が開いてくるのは当然であります。

ロータリーの奉仕哲学といった思想の一元性を保つことは当然としても、アジア、ヨーロッパ、南アメリカなどの思考を尊重するためには中間管理組織を作って、緩やかな連邦制を敷き、地域や民族のニーズに応えた運営を委任することも一考に値すると思います。