例会出席のメリット
2001年の規定審議会に、例会を1ケ月に2回、年間24回開催してもよいという選択権をクラブ理事会に任せるという提案がRIから出されましたが、日本を中心とした良識あるロータリアンの大きな反対の声に驚いたのか、事前に撤回するという出来事がありました。もっともこの提案は、RIのダミーとなった幾つかのクラブから出されましたが、結果的に否決されました。
近年、ロータリー運動を成立させる必要条件とも言える、一人一業種による職業分類と毎週の例会を緩和しようという動きが強く、今回の規定審議会でも、毎週一回の例会こそ守り通せたものの、なし崩しに緩和されていた一人一業種制度は完全に崩壊し、今後は10%の同業者が同一クラブ内にひしめくことになります。
さてここで、我々は、何のために例会に出席しているのかを思い起こしてみたいと思います。
ロータリーの職業奉仕は、例会に於ける会員の事業上の発想の交換によって行われてきました。更に、例会を通じた会員同士の切磋琢磨によって、真の親睦が形成されてきました。従って、例会出席はロータリー運動を形成するための必要条件であり、更に、密度の高い事業上の発想の交換をしたり、親睦を深めるためには、頻繁に例会を持つことが必要になります。
米山梅吉が述べた「ロータリーの例会は人生の道場である」という言葉を、今一度思い起こす必要があります。
職業奉仕の理念が忘れ去られ、ボランティア活動一辺倒となった昨今は、当然の結果として例会が軽視される傾向が強まっています。ボランティア活動を実践するだけならば、例会などしてもしなくても一緒ですし、形式的な例会に参加するよりも、ボランティア活動をする方がよっぽど実利的だという解釈がまかり通ります。
こういった現実が、理事会が認めた委員会活動を例会出席の補填として認めようという考え方を生みます。ロータリー運動の必要条件である例会出席と、数ある奉仕活動の一形態に過ぎないボランティア活動が同列に、いや逆転して考えられる悲しい現実です。
RIや一部の先進国のクラブが職業奉仕を忘れ去って、ボランティア活動にうつつを抜かすと非難することは簡単ですが、その一方で私たちが、職業奉仕の理念形成や人格形成の場として、有意義な例会を開いているかどうかを反省する必要があります。
僅か一時間の例会で、それも、会長の時間や幹事や委員会の報告で15分、卓話で30分、肝心の会員同士が事業上の発想の交換をする時間は、食事時間を含めて15分しかなく、例会は完全に形式的なものになっています。その卓話すらも部外者を呼んで、余りロータリーとは関連のない話を聞くのでは、何のための例会かということになります。
クラブの会員は、事業に従事すべき大切な時間を割いて例会に出席しているのです。事業で得られるprofitsをはるかに超えるprofitsが、例会出席で得られてこそ、例会に出席する意味があるのです。果たして皆さま方のクラブは、こういったメリットを例会参加者に与えているでしょうか。
ロータリーにおいて何故例会が重要なのかと共に、例会が会員に大きなメリットを与えなければならないことについては、前号で述べた通りです。
例会出席によって大きなメリットを得るという、ロータリアンの特権を享受するために例会に出席するか、それとも義務としていやいや例会に出席するかによって、会員の態度に大きな差が現れてきます。積極的に例会を楽しむのか、それとも必要最低限にしか出席しないかの差でしょう。そして常に物議をかもすのが後者の立場の人たちであることは、論を待ちません。
毎回、ホームクラブの例会にでることが原則ですが、仕事や健康上の理由でそれが不可能な場合のために、メークアップの規定があります。
会員には世界中のどこのクラブででもメークアップをする権利があります。これは、全てのクラブは、定められた場所、曜日、時間に、必ず例会を開かなければならないことをを義務付けられていることを意味します。
従って、万止むを得ない事態以外は、みだりに例会変更や休会をすべきではありませんし、近隣クラブに例会変更の通知をだしたからと言って、済む問題ではないのです。このあたりのことがルーズになって、例会変更をして親睦会をすることが日常化したり、今回の定款改正で、年4回まで休会が認められたことには、大きな問題があります。
毎週1回の例会を大切にし、それに加えて、奉仕活動の実践やレクリエーションを楽しんでこそ、ロータリー・ライフを真にエンジョイできるのではないでしょうか。
クラブがこういった状況ですから、メークアップをする会員も、「メークアップをしたら、たまたま例会をしていなかった場合は、メークアップをしたものと認める」という規約を逆手にとって、わざわざ休会のクラブをめざして、サインだけして帰るという、恥ずべき行為が日常的に行われているようです。
中には、代返ならぬ、メークアップを人に頼むとか、電話によるメークアップとか、あらゆる手を使って例会出席を免れようと努力する様は、異様としか言いようがありません。
また、卓話の時間が始まるや否や、ビジターがゾロゾロと席を立つという異様な光景もしばしば目にします。確かに、例会時間の60%参加すれば出席とみなされます。大切な会議があったり、急患の往診ならばいざ知らず、ビジターの全員が、毎回、そういった特殊の条件下にあることなど到底考えられません。
都市部では、毎日、どこかのクラブが例会を開いているのですから、途中退席をしなければならない日を選んで、わざわざメークアップをする必要はないはずです。ロータリアン以前の人間の常識として、他のクラブを訪問した時は、最期までいるのが常識ではないでしょうか。
休まずに例会に出席するに越したことはありません。しかし、まやかしのメークアップをしたり、途中退席をするくらいならば、潔く欠席する決断も必要です。
定款によって、メークアップを含めて60%出席することが義務付けられているのですから、あまりにも出席率にこだわり過ぎるのも問題です。
外国のクラブの出席率は60%、70%が普通であり、地区内クラブの平均出席率が90%以上というのは、日本だけに見られる特殊現象です。先ほど述べた「休会と知りつつのサイン・メークアップ」や「食い逃げ」現象は、日本特有な現象であり、外国のクラブでは途中退席者は殆どみかけません。実質的に例会に参加しないで、高い出席率を誇ったとしても、何の意味もありません。
クラブは会員にメリットを与えるように例会運営を抜本的に見直し、会員は自らのクラブでも、他クラブのメークアップでも、真摯な態度で例会に参加するように努力する必要があることを痛感します。
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